FXってちょっと悪いイメージありませんか。
多くの人が投資していると思うのですが、「FXやってる」と友人から聞いたことがありません。
それはつまり、後ろめたいことなのかなと。
わたしもFXなんて全く別の世界の話だと思って36年生きてきて、
ギャンブルが大っ嫌いだったので、なんとなく悪い印象を抱き続けていました。
しかし、2021年3月、2月に結婚したばかりの夫にそそのかされて?ついに手を出してしまったのです。
そして、あろうことか、そのターゲットは大勢が大金を溶かしたであろう有名な”トルコリラ”。
何を隠そう、わたしもリラ地獄にハマってしまった一人なのです。
きっかけ~経緯
わたしが最初にポジション持ったのは21年3月頭で、リラが大底を抜けて少し上向きになった(ように見えた)頃。→夫はそう言っていました。
GBP/TRY 10.5 3ロット
CHF/TRY 8.2 3ロット
TRY/JPY 14.2 30ロット
このくらいだったと思います。
持ってすぐ50万円くらいマイナスになったのですごく焦りましたが、損をしたくなく、投資もNISAくらいしかしていなかったので損切りもできず、ただアタフタしていました。
しかしその後間もなく突然の利上げがあり、暴騰したのです。
夫にすぐ利益確定するように勧められて、言われるがままに決済し、50万くらい益になりました。
味をしめたわたしは、また最初に持ったポジションに指値しておいたのですが、
また数日後に、今度はエルドアン大統領が中銀総裁を突然更迭するという事件が起き、リラは暴落し、わたしの指値は指値で止まらず、底の方でささっていました。
GBP/TRY 11.6くらい 3ロット
CHF/TRY 9.0くらい 3ロット
TRY/JPY 12.8くらい 30ロット
この後にまた反動で戻ってきて80万円くらいのプラスで利益確定しました。
トルコリラの魅力はなんといっても高いスワップポイント。
GBP/TRY@600円・CHF/TRY@500円・TRY/JPY@50円くらいだったので、毎日なにもしなくても5千円くらい入ってくるので、月15万にもなります。
数日で数十万の利益が上がり、完全に脳内麻薬がでていました。
本来なら投資は慎重に、ファンダメンタルを読んだり、もっと研究が必要だっと思うのですが、足元の実績しか見えていなかったわたしは、利益確定と同時に、決済したレートでまたポジションを持ちました。
もともと長期投資目的という前提(言い訳?)で始めたので、この時は、もう手の届かないところまで上がってしまって金の卵を逃すのではないか、という謎の不安があったのを覚えています。
しかしその不安はまったく意味なく、最初の総裁更迭後も2度の同様事件が起こり、あっという間に暴落していきました。
その度にチャンス?という謎の期待でナンピンを少しずつしていき、常に150万くらいの含み損を抱えていました。
ポジションを持ちすぎて動けない状況で、一度すべての利益を削りそうになったときに(当時250万くらい)、元本割れなんて恐ろしいと思い、寝られなくなった日がありましたが、それも1日ですぐに反動をみせて難を逃れるようなときもありました。
9月頃になると、特に要因もなく少し回復がみられ、含み損も100万を切るところで、且つスワップポイントも順調に積み上げていったので、トータルで300万くらいプラスになっていました。
いくつかナンピン分のポジションを減らすこともできていました。
思えばその時にすべて精算してしまえばよかったのですが、素人にはそれができないんですね。
次暴落したときに底でナンピンしてすべてキレイにするぞ、という謎の目標ができていました。
しばらくして、9月の政策金利は1%引き下げで18%、さらに10月には突然の政策金利2%引き下げが起こり、16%となり瞬く間にリラは暴落。含み損は3百万という状態に。。
そして17日、11月の政策金利発表前にまたエルドアン大統領は「金利と闘う」という発言でさらなる金利の引き下げをほのめかし、リラ円は10.7円を割り込むほどまで暴落し、含み損は6百万。今までの利益含めても2百万マイナス。
2日連続で入金対応し、また眠れなくなってしまいました。
損切り
11月18日の昼前、含み損が7百万に近づいてきたときに、今後のこのペースで入金していたらカードの支払いやら税金の支払いやらができなくなることを考え始め、損切りを決意しました。
全部切ってしまおうと思ったが、とりあえず3つの通貨のうち今一番弱いもの(今後上がる対リラで上がるリスクが高いもの)から切っていこうと思い、TRY/JPYを決済。マイナス160万。
続いてポンド、と思ったが、円を切ったことと、なぜか一旦リラが上がってきて維持証拠金率が200%近くなり、少し安心してしまい、利下げのネタが出尽くしている説を信じてみようかと金利の発表をそのまま迎えることにした。
*ここでやっと遅めのランチができる状態(おなかがすいたという感覚を取り戻す)になる。。
結果、やはり利下げをして金利は15%に。
エルドアンの強固な姿勢と中銀がその支配下にあることが証明される結果となり、一時は反発したものの、さらに損は拡大。
損切後の回復では470万ほどマイナスだったものが、再び520万のマイナスへ。
思えば、最初に250万のマイナスを経験して、そこが一つのラインとなり、次に、損切前の7百万手前がまたラインとなっている感覚で、一度味わった「ヤバい」を超えない限りは、ある程度 ”慣れ” があるような気がします。(人間はメンタル面でも柔軟に対応できるようになっているということがすごい)
11月23日の夕方、再びエルドアン大統領の発言によりリラが暴落しました。
競争力のある為替レートが「雇用や投資を拡大する」などと発言したことで、当局が通貨安を容認し、緩和的な金融政策を続けるとの受け止めが広がったとのことです。
初めてロスカット警告のメールがきて再びパニックに陥り、状況を把握できずに101%になった維持証拠金率をみてとにかく何か損切しなければと、一番損がでているポジションと一番傷が浅めのところでポジション3つを損切りしました。後から計算すると、280万の損でした。
車での移動中で、冷静になることは全くできず、スマートホンだったので全部を切ることもできず、こうなったのだと思いますが、思考停止状態だったのは間違いありません。
この時点で合計440万の損切り。FXで得た利益をすべて捨てました。
結局、予め損切りしたりはできず、緊急事態になって損切せざるを得なくなってする、というのが人間心理(素人心理)だと痛感しました。
金利が高いのであれば、保有している期間で損を取り戻せると思っていましたが、目減りしていく金利と、不安定な政治体制で猛スピードでリラが落ちている状況には到底間に合う気がしません。
と頭の中では冷静に考えられるのに、損切は本当に難しい。。
今後について
毎回危機を乗り越えても、キャッシュをどれだけ塩漬けにしていられる余裕があるのかというバランスなので、どのみち放置できないというのが実情。本当はメンタルケア上ポジションをすべてなくしたいが、その勇気もない自分の弱さを感じます。
トルコは観光地として非常に魅力的な国と思うし、一度は行ってみたいあこがれもあるのに、大統領のセンスのなさというか、独裁ぶりは本当に残念で仕方がありません。
投資はエモーショナルなものを一切排除しなければいけないと再確認しました。
冷静に見たら勝ち目のない無謀な投資は絶対にやめるべきと、検討している人がいたら必ず伝えたいです。
証券会社の甘い誘惑にはのらないでください。
ちなみに、わたしに勧めてきた張本人の夫も過去にトルコリラで3百万ほどを溶かした過去があり、そんな経験も踏まえての大底理論(大底は抜けたから投資しよう)だったのですが、またしても、という結果です。
懲りない夫と、そんな人を信じた自分の浅はかさ。夫婦関係も一段も深み?理解が進みました。
夫はずっと他人事のように本件に関わらないようにしていたのですが、440万損切して更に4百万の損失を抱え、あと70万程度で退場というタイミングで、すべて損切りして少しでも手元に残して楽になるべきなのか、それともカラカラになるまで入金してストレス抱えならが怯える日々を送った方がよいのか、経験済みの夫に真剣に相談したところ、「百万も2百万も一緒、もう追加しないで放置!」という一言。
夫が3百万損を出したときは、そもそもFXで得た利益を溶かしたわけで元本割れはしておらず、私の状況とは全然違うので何も参考にならないのですが、ただ誰かと共有したい、自分一人で抱えておきたくない、という部分では何か言ってくれたのは大変助かったというか、気持ちがラクになりました。
この日から日中のFXチェックはなくなり、通知もカットし、晩酌時に夫と一緒にのぞくスタイルに変更となりました。今後はどうなるかわかりません。
いろいろと赤裸々に書き綴りましたが、まだ手を出していない人や検討中の人は、わたしの経験をぜひ参考にしていただきたいのと、それでもFXをやりたい、というのであれば、別の通貨(主要通貨)を勧めます。
FX自体は世界の状況を気づくきっかけにもなるので悪くないという感想ですが、トルコリラは底がなく、素人の予算とメンタルでは厳しいものがあります。
ごはんを美味しく食べれたり、安心して寝ることはやはり重要だな、としみじみ思います。
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